はじめに

ガン治療には皮膚などにできる固形ガンやリンパ球などが腫瘍化する血液のガンなど様々なものがあり、治療法もいろいろあります。ガン治療において、そのガンに最も適した治療法を選択することが重要になります

考え方

現在ガン治療には切除するなどの外科治療、ガン細胞を殺滅するための抗がん剤治療、中性子などを照射する放射線治療、ガン細胞を攻撃する役割のリンパ球やキラー細胞を使う免疫治療などがあります。

治療法にはそれぞれ長所・短所がありますので、獣医師とよく相談して治療法を決めていきましょう。

ガンの検査方法

ガンの検査方法には細胞診、太い針や部分切除による組織検査、切除後に行う病理検査などがあります。皮膚などにできた固形ガンの場合、細い針を刺して細胞を採取して検査する細胞診という検査法があります。これで診断がつくこともありますが、確定できないこともあります。その場合もっと多くの細胞を採取するために部分切除などの組織検査や手術によって切除し、病理検査を行って確定診断します。

治療法

  • 外科療法

    孤立した腫瘍の場合は切除することでガン細胞を取り除くことができます。ほとんどの場合で全身麻酔が必要になります。当院は入院設備も整っていますので、ほとんど全ての手術に対応できます。ただし、動物が末期であったり弱っている場合はリスクも伴いますので、しっかりとした検査や相談が必要になります。

  • 抗がん剤療法

    血液系のガンは固形ガンではなく全身に広がっており、切除は難しいため抗ガン剤治療が適応となります。抗ガン剤についてはネガティブなイメージがありますが、適応のガンに対しては、動物の体調が良くなる状況も多いです。もちろん副作用もありますが、用法に注意して使用すれば、あまりでてきません。そのため飼い主さんとよく話し合って、投与することが重要になります。

  • 放射線療法

    放射線療法は人医学ではかなり有効性が高く使用されているようです。しかし、動物では特別な施設が必要になること、また動かないようにして照射しないといけないために麻酔が必要になること、そしてそれを1日おきに数週間しないといけないことなどの理由から、あまりできない治療法です。

  • 免疫療法

    我々の身体の中で、ガン細胞ができるとリンパ球やキラー細胞などがそれを見つけ出して、攻撃します。そのメカニズムがあることで我々はガンにならずにすんでいます。しかし、そのメカニズムに問題が生じるとガン細胞が増殖してしまうのです。その理由はガン細胞がそれらの細胞に駆除されないようにコーティングされるとかブロックするとか、いろいろな説があります。いずれにしろ、そのガン細胞を抑制するためのリンパ球等を強化することでガンを抑え込もうというのが免疫療法です。動物の持っているリンパ球を取り出して、試験管内で増殖・活性化させて点滴で体内に戻す活性化リンパ球療法やキノコから抽出したβ-グルカンやメシマコブなどを摂取することで、体内のリンパ球を活性化させる治療法などがあります。一般的にはガンを外科的に切除後に補助的に使用することが多い治療法です。